ジッパーで世界は隔てられている/瀬崎 虎彦
 

起きているときの自分の身体を
明晰に意識し感覚しているかというと
まったくそんなことはなくって

体の軽さや重さというものは
眼を閉じたり電気を消して
浴槽に浮かんでいると分かることだ

何も自分は不自由でないのに
嫌な気持ちになる映像を見て
自己嫌悪に陥るのはまさに
甘えている証拠なのだろうが

裸の女の子が色々と虐げられて
自分の排泄物を食すシーンを
何回も巻き戻して見て
嘔吐してそれさえも彼女の食物

力は目に見えないから抑圧しても
責任逃れできる便利な道具で
そういうのは全部消尽してしまえばいいのに

現実世界でも利権やらあるのだし
夢でも
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