ゆうれいのダイアリー/コーリャ
 
月21日

朝の街と夜の街をくらべると
ときどき世界がいぶかしい
希望はつれない女の子みたいだ
いつも遅れてやってきては
いつまでも忘れられない言葉を残して
ほかの誰かに会うために
すぐどこかに去って行ってしまう


/252月1日

そして夜をめくりつづける
乾燥してペリペリの暦をやぶき床に捨てると
輪郭しか所持しない妻が
きちんとかさねていってくれる
しかし彼女は生前
魔女だったので
かってに数字が足し算されていき
いわく今日は252月1日だそうだ
せいぜい67月くらいとおもっていた
と詰ると
宇宙に行ったら手紙を書きます
と言った
たぶん
それが
離婚届けなのだろう


/67月8日

青い空を定規ではかるように
ヴァーティカルな道が地平線までのびている
まっすぐというχにひとりぼっちを代入する
「あの飛行機雲が墜落したあたりまで
行ってみようとおもうのです」
自縛霊のくせに
そんなことを言った彼が
いまどうしてるかしらない

戻る   Point(10)