名前を消されて/
AKiHiCo
れて
最早身動きが出来る隙間は
赦されませんでした
時折
過去の記憶の海で溺れてしまうようで
張り裂けそうな声で泣き喚き
身体を大人数人で抑えつけないと
鎮まらない力で涙を散らしながら
暴れ出してしまうのです
面倒になった大人達は少年を、
少年は
少年はそれでも
何時か必ず母親が迎えに
来る事を
強く祈りました
名前を
名前など無くとも
頬を伝う一筋が
少年に
まだ
心が在る事を伝えます
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