オレンジ/あ。
 
り投げることも出来なくて


そんな時に身体の芯が
やわらかくきゅうっとしなる
剥いたばかりのオレンジの皮みたいに



たどり着けたのか歩くのをやめたのか
いつの間にか旗は見えなくなってた
恐らく過去のものになっているのだろう
わたしは若くない
わたしは若くない



それでも
瑞々しいオレンジの攻撃を受けると
ほんのわずかに蜃気楼が
懐かしい景色がゆらめいたりする



余すことのない潤いをたたえた
きみは太陽の子


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