花の色/
西天 龍
野の花に
名前などあるはずがないと
思うようなあなたなのに
振り向いて欲しいのは何故
ここにいる、ここにいる、と
声を限りに叫んだとき
それを感じ、立ち止まってくれたのは
「花を愛する」というあなたでは、なかった
刈り込まれた街路樹のような
生き方はできないから
ここにいるのだけれど
あなたにだけは振り向いて欲しい
私は野の花
在ることの意味を色に託して今を咲く
野の花を知らぬあなたを
振り向かせるため
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