恋をしたロボットへ/梨玖
眠る前には おやすみなさい を
目を閉じることは無い貴方へ向けて
何時でも微笑を浮かべる顔に
軽くキスを
嗚呼 冷たい
そうして片目から涙が零れていても
貴方は慰めてはくれないと知っているのに
私は私を紛らわすため
金属音のする指を手にとり
ふわり、と涙を拭う
「如何して、貴方は― 」
なんて言うつもりは無い
発する事のない声を聞こうとも思わない
只その目が私に向いてくれればいい
だって貴方は私の中で
「生きて」いるでしょう
こうしてまた片目から涙が落ちる
抱きしめても貴方は何も変わらない
けれど願い事1つだけ叶うなら
其の体温の無い腕に抱かれ
抱かれ
眠りにつきたい
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