満天の/
ジャイコ
ひろげた手は
空へと届き
やがて
きみへと
触れるだろうか
なくした温度
乱雑な部屋に
声はひとりぶん
甘い匂いと
汗の混ざった空気が
きみを思い出させ
人混みに居ると
苦しくて堪らない
宵闇に消えていく
きみのはにかんだ笑顔が
あたしの心臓の左心室に
ひっかかったまま
そこから全身に
きみのやわらかな部分を
濾過した血液が
あたしの中を駆け巡る
充たされる
鈍い痛みすら幸せだと
感じる日が来るなんて
水のなか
乾いた大地は
さぁ何を育てようか
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