文月二十三日/志賀羽音
 
た。その犬は犬の役をするのが疲れたのだろう。僕も飼い主の役をするのが疲れていたのだから。)口に含んで喉を通るエビアンはゼリーを丸呑みしたような飲み応えで、僕の食道を冷やしながら胃に落ちていった。肺が水を欲しそうに上下した。あげないからな。前にお前が水を飲み過ぎて酔って吐いたのを僕は忘れていない。あの後始末を誰がしてやったと思っているんだ。どうしても水が欲しいなら、お前が運動して炎症すれば水なんか直ぐに溜まるだろう。僕は喉を鳴らして笑った。
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