自殺者の山と来るべき世紀/ふくだわらまんじゅうろう
び出しちゃだめ
走り抜く走りと
道路に飛び出しちゃだめ
死にたいと願う「きみ」よ
「きみ」は走り抜けたか?
それとも「きみ」は今
走り抜けようとしているのか?
「きみ」の中に生きる命は
この歪んだ社会と世界を
どんなに走り抜けようとしているのか?
どこまで走り抜け
どれだけ走り抜けたら
命は「きみ」を許してくれるのか?
二十一世紀は
失望のうちに訪れた
だからと言って
そんなものは命たちにとっては何の
いいわけにもならないだろう
そんな区切りとはまったく別の
来るべき世紀が
「きみ」の走りと
命たちの走りと
走り抜くすべての走りとによって
無念の死者の山と山と山と
孤児(みなしご)たちの静かな涙と
血と
血と
血と
いまだ「われら」を裏切らない日の出と
来るべき世紀が
走り抜く走りと
道路に飛び出しちゃだめ
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