金魚の独りごち/Leaf
界を独り占めしたようなその姿は
悠然と威光放つようにも見えましたが
何処か淋しそうでした
懐古に浸る姿からして
独りごちる声は
人を寄せる琴音を
奏でていました
我を忘るる私は
玄関先にて待ち侘びた
絶縁体になって
しまいました
そう、
電気や熱の伝導を拒絶した絶縁体
それで居て絶好調かい?
との問いは
銅製の鎖樋に伝う雨滴と
アルカイックな玉揺の
頽廃に消えました
受け止める陶製の甕に
溜まった残滓の中を
心置き無く金魚が泳いでいたのは遥か昔
其れを金魚鉢に見立てないで居てくれたなら、
やたらエレクトリックに伝わらないように
絶縁しましょう
雨樋の鎖千切り、
いつぞやの手水鉢に
清めの風景と水琴窟の音色に
侘(わび)・寂(さび)の風情を導くのでした
其れならば
雨に沁みた寂れた心も溢す事無く、
水甕の中の金魚の
縷々泳ぐ姿を只管に
観て居られるのです
そうやって
哀も
愛も
藍もぜんぶ
澄み往くのでしょう
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