寿司屋の生ビール/ふくだわらまんじゅうろう
 
んてのは
ジャンケン強いのと同じようなもんさ

寿司屋の生ビールが俺を祝福する
「汝はくだらない詩を書く詩人である」と
「そうさ、俺は、くだらない詩を書く詩人さ」と俺は答える
ジョッキはキンキンに冷えている
外にはギンギラギンの真夏の太陽が
夜に向かって傾いている
俺はロボットにチップをやりたくなるのだけれど
どうせ店長に横取りされるに決まってる
人類はそうやって
風呂場のカビなんかより遥かに強(したた)かに蔓延(はびこ)ってきたんだ
俺の胞子は文字たちになって
できそこないの軍隊みないな整列の真似事
「おすすめ」のイワシは生臭く
生温いシャリが俺の階級を表している
それでも律儀なロボットは
誰にも平等に旨いビールを注ごうとしている
だけど俺にはわかっているのさ
この店で
俺と同じビールを飲める奴ぁ二人といない





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