空と、砂と、無花果/HTNYSHR
 
の塔の中に閉じ込められた儘なのだろう。積み上げても積み上げても流れ落ちる砂を撫でながら、円錐の罠に嵌ってはいないだろうか。掴み取ろうとする指の間からこぼれる砂が風に吹かれている。ふと顔を上げ、汗ばんだ腕に付着した砂を払い落としながら目を閉じる・・・・・・、再び目を開けたかと思う瞬間、自ら砂の塔を崩し海を見遣る君は盛んに情熱的であったのかも知れない。

分別されない領域の記憶が入り交じってとても歪だ。崩れた塔は白い砂が風に均されて消えてしまった。空と、砂と、無花果は、色を反転させながら時間が止まったように静かにしている。

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