「草原の像」/月乃助
 
い像」は、この家からいなくなった。
みなどこかへ逃げたのだろうと、そう願った。

幸せな草原を元気に駆け回る姿を
思い浮かべ
そこで、幸せに暮らす像は、
本当に鼻の長い、大きな耳の、
像の姿になっているに違いない。

「たべない像」のクラスの先生と子供達が、
花を持ってやって来た時、
家族会議は、一同にその花を投げ返し、
力の限り踏みつけた。
先生も子供たちも、驚き、それでも、
怒って帰っていった。

「たべない像」は、それをどこかから
見ていた。
草原に陽が落ちて、赤く染まっていた。
何か悲しくなって、涙が落ちた。



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