前をゆく人/within
 
梅雨の中休み
夏に急かされることもなく
冷房の効いた部屋で
午睡に委ねようかと欠伸をする

いつもよりほんの数ニュートンだけ重力が大きくて
明日また雨雲が訪れたなら
雨粒の重みで紫陽花の花弁が落ちるだろう

晴れた日には畑を耕していた彼のようにありたいと
うそぶきながら
汗水垂らさず 幻を相手に飯を食う
贅肉で重くなった自分を
もう彼に重ねることはできない

厚く垂れ込めた雨雲を見るたびに思う
雨にも負けぬ彼のことを
戻る   Point(4)