前をゆく人/
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梅雨の中休み
夏に急かされることもなく
冷房の効いた部屋で
午睡に委ねようかと欠伸をする
いつもよりほんの数ニュートンだけ重力が大きくて
明日また雨雲が訪れたなら
雨粒の重みで紫陽花の花弁が落ちるだろう
晴れた日には畑を耕していた彼のようにありたいと
うそぶきながら
汗水垂らさず 幻を相手に飯を食う
贅肉で重くなった自分を
もう彼に重ねることはできない
厚く垂れ込めた雨雲を見るたびに思う
雨にも負けぬ彼のことを
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