不朽の私/百瀬朝子
 
わたしはちっとも朽ちない
咲いているあの赤い花のように
なぜわたしはいつまでたっても
朽ちていかないのだろう

食パンに生えたカビをまとっても
古くなるだけ
わたしは朽ちない

雨に濡れて放っておいたとしても
乾いていくだけ
わたしは朽ちない

 朽ちない
  朽ちない
――――朽ちていかない

わたしは古くなる
皺を刻んで
衰えて
それでもまだ朽ちていかない

心はこんなにも空っぽになった
虚無に満ちて
カラカラに渇いて
ボロボロに疲れて
それでもまだこの体は形を保っている

なぜ
わたしは朽
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