アジサイ/百瀬朝子
 
飽和した悲しみが、
 雨となって降り注ぐ


  それは涙/心のかけら
  誰も犯すことのできない領域


湿った土から
 悲しみを吸いあげて、
  よろこびを咲かす


  どんなにつらく悲しいことがあっても
  また笑える私たちに似て


そして、
 朽ちてゆく――


  濡れて咲くアジサイを見て
  そんなことを思ったんだ
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