蝸牛/ae96
 


わたしは全休符にも似たペイジをめくる。

煩悩の炎がほのめかす反応。

それはまるで燃えたぎる禁忌と背徳のワルツ。

わたしは、回転する美意識の中枢に宿る生と死と混合物。

わたしは、反転する理想に寄り添う無垢な本能の現実。

わたしは、極上な暗闇に迷い飛ぶ漆黒の蝙蝠の羽ばたき。

わたしは、錆びついた絶望と凍てついた夢の噛み合わぬ歯車。


わたしは、六月の雨に打たれる蝸牛の情事。


そして
今夜こそ

銀色の星空に向かって

片目を瞑るわたしがいるのだ。


          
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