クールなアンサー、もしくは “キャンセルのお詫びとお知らせ”/ひとなつ
 

ポラロイドだが証拠写真も撮っておいた

5分くらいすると

猫は「牛丼の肉が薄いけど、でも美味しかった」と独り言を言いながら、

スーツ姿で店から出てきた

トイレで着替えたのだろうか

背中にギターをしょっていたので

そいつは次郎だとすぐに分かった

駅に向かう彼の後ろ姿に声をかけてみたが

返事がない

「おーい、次郎ー、次郎ー」

この一度きりしか来ることの出来ないと言われている不可思議な商店街で、

道行く人々はこの呼びかけの虚しさを知っているかもしれない

私が諦めかけたときだった、彼は背中のギターをスッと胸に構え

呼びかけに、答
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