減ること。/高橋魚
 
こした
やがて、そこから臨く深い闇のなかに小鳥自身も墜落するのではないか、そう私は思った。

しかし、死人のように横たわるだけの私にとっては
墜落してゆく声達は
艶めかしさ以外の何物でもなかったのだ。

私は焦がれていた、その懐かしい重量に。
横たわる私は
捨てられた紙屑のように
風によって動くだけで
紙屑は紙屑自体によって動かされることはないのだ

私は
夢の中にいるのだろう
私を誘うものは何もない、夢の中に


私の声は
それほど重くないので
墜落しても
地割れを起こすこともなく消える
私も
重量のある声を発したい
誰かに届けたい
耳を澄ましていたい
そう、思いたいのだ。
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