記憶の終点/ばんざわ くにお
 
に漂う




【解説】この岸辺はこの世のはて、黄泉の国の境にある川の岸辺です。
    つまり、この川は三途の川です。
    ゲノムのためにこの世で生き死んだ生き物達は三途の川の前で
    魂が肉体から抜け出し、魂だけが三途の川を渡っていきます。
    その時、生前の記憶達は魂に置き去りにされて三途の川の岸辺に
    永遠に漂ようことになります。これが記憶達の終着駅です。
    今日、このような現象は三途の川まで行かなくても私達の身近な
    ところで起こっています。それはたとえば故人の生前にとった
    おびただしい数のビデオテープやDVDの山などです。
    科学技術の進歩が現代の三途の川の岸辺に記憶達を漂わせています。




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