いくところがない/ふくだわらまんじゅうろう
 

明日も生きているかどうか
咳は止まらないし
舌は乾いている
そしてなによりも
誰もなんとも思っていないってこと

もうやめにしよう
貯金をぜんぶおろして旅に出よう
雨が降ったって別にかまわない
心配事はとうのむかしにはじまっているんだ
「もうそろそろ帰ろうかなと振り返ったら
そこには、もう、道はありませんでした」

ぼくにはいくところがない
いるところもないしいたいところもない
生きているだけでも精一杯なのにこれ以上もんくいう奴がいたらみんなぶんなぐってやる
そしてタイヤを鳴らしてこの街を出ていってやる
誰も悲しまなくていいし誰も死ななくてもいいんだ
どうせ人類は順調に確実に滅亡へと向かっているのだから


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