まなざし/
ゆびのおと
けぶるような雨が降る
微かに放熱しながら 闇のケモノはまどろんでいる
銀色の毛並みは霧のように細かな水滴に覆われ
恐る恐るそっと触れた手触りは
なめらかで ひんやりと。
目覚めた瞬間の あのエネルギーの奔流が嘘のように
規則正しく 寝息を立てて まどろんでいる
いきをころして かたわらにしゃがむわたしは
ふれ続けることなく
ただ まなざしをそそぎ続ける
ひたすらに。
すいよせられるように。
「射よ」とばかりに。
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