罠に掛かればいい/ひとなつ
君の横顔
髪のすきまから見える目蓋
決して私を見ようともしないその瞳の輝きを
ひときわ奪うシャドウが瞬く
それは
森の中の樹木に休む一羽の小鳥のようだ
ついばむ木の実は何の実か
君の囀る声も知らぬが
気まぐれな木漏れ日の気の向くままに
君はいずれ何処かへ行ってしまうだろう
それなら私は
君を素直に見届けよう
君が遠くへ行こうと私はかまわない
君の声が薄れゆくままに
私は悲しむだけなのだ
だから
君は罠に掛かればいい
そのときは私が助けてあげましょう
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