鉛筆くん、、。。/ヨルノテガム
 
 一本の線の先が耳から脳に達し
   
   「殺す、殺される」
   
   という強迫地獄から
   
   「くすぐる、くすぐられる」
   
   という天国気分を通り越し、
   
   耳アカがどっさり取れたね、と反対の耳から産声は聞こえる
   

   一線を越えて壁の向こう えんぴつの影が消えたとき
   冷たい月の裏側を殺生の花が咲いている
   花を美しいと言い切れずに
   殺しを極悪であると言い切れずに
   えんぴつを真っ二つにした恐ろしい力の加減は
   それでも 余韻と再生への祈り、糸口を
   一本の線上に託すのであった

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