狂気の僕/智鶴
 
残酷な歌を振り払って
君だけを失える楽園に行こうと思う
君の歌うその笑顔は
僕にだけ、ただ冷徹な血を浴びせる

夢にまで見たこの世界の果てを
君はいとも簡単に絶望に変えて見せた
「ほら、これが貴方の望んだ楽園なんでしょう」
君が悪魔に見えたのはその一瞬だけだ
地獄すらも
僕には望んだままの世界に見える

遠過ぎる
近付けば近付くほど
君は悪魔のような顔になる
僕には決して美しいままでいてくれないんだね

(僕の何処が)

僕が笑った瞬間
君は初めて怯えたような表情を見せた
「やっと君を殺してあげられるんだ」

僕の望んだ楽園で
君だけを失うための歌を歌おう
君は僕にしか見えないダンスを
僕は君にしか聞こえない歌を

狂ってしまったのは
僕じゃないんだよ

(僕の何処が醜いって言うんだ)
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