波紋/
フクスケ
川面に漂う
名残の桜の
花びらめがけて
一粒の雨の旅は
小さな
波紋を残して
終わる
旅が終わるとき
一粒の雨は
何を見たのか
何も言わなかった
ただ 最後の光景は
波紋の中に
一瞬拡がり
花びらを
揺らせた
その時
小さな声で
風のように
さよなら
と 聞こえた
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