くじら雲/1486 106
広告の文字が不自然に揺れていた
くじら雲と一緒になって大笑いした
知らない町まで行ってみたいな
太陽に触ってみたいな
くじら雲は大きく返事をすると
潮を吹き出して虹を作ってくれた
くじら雲はそれからたくさんの遊びを教えてくれた
雲細工やくじら泳ぎのコツ
歌ってくれた潮騒の子守歌は
お母さんみたいに温しい音色だった
くじら雲くれた壊れないシャボン玉を
地上のみんなに向かって吹いた
お隣さんや学校の先生にも
届くように力を込めて強く強く
もしかしたら話しても信じてもらえないかな
だけど僕はずっと友達でいるからね
くじら雲は照れ臭そうに笑うと
勢い良く尾ひれをふってくれた
ありがとう今日の事は大人になっても絶対に忘れないからね
遊び疲れて眠たくなった
目が覚めると僕は元の公園にいた
すれ違った散歩途中の犬は
壊れないシャボン玉をくわえていた
くじら雲が頭上を横切った
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