バスタオル/モリマサ公
バスタオルに湯気の立つ少女くるまれている
春には毛布もうすくなる老人
落ちてくる雨粒にときおり天にくちをひらく少年
あたしはひざを折りさらに腕をおりまげて居酒屋の出口で誰かをまってる
星が見えない曇天の真夜中の雲の腹に
街の光がうつるのがやまのまっくらい稜線のむこうにみえる
あと何キロという表示をみながらアクセルを踏み
野良猫をよけて前の車のナンバーを確認し
いたみをばらまくようなことはしない
壮絶なふくみわらいをうかべ
スーパーで主婦がご近所とすれちがい
あたらしい洗剤を購入する
眠い目をこすらないまま
さがしてもみつかないし埋まらない
中途半端な性交を半分でやめて
コンビニの裏でしゃがんで要を足す
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