根ナシ草/佐藤真夏
 
人の子たちは時間をうまくやり繰りして
表側を重ねるだけのヨーグルト(乳清だらけ)になってしまったね 昼間から
ほのかに腐った匂いにときめけ すぐに腹を下せ

酔いから醒める 体脂肪も減る

少女が
走り込んで
一斉に飛び上がった鳩たちが
数メートル先に着地して
虫を食べている、巣があって、たくさん
少女は
掻き集めて
砂をかける 湿っていた

それぞれの身の上を語る足音
を立てて地面にぶつける 足の、裏側
いくつも いくつも 重なって
これが騒音でないのは仲間意識ゆえ か
ハイヒール ここから見ると黒だけど
日陰だし 分からない

目線の高さが変わらなくなるまで生きたら
自然 に身に付く当たり障りのない会話
の下で
草花が日のある方に傾いていた
根があってもしんどいらしい

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