Dance/百瀬朝子
いない
ああ、せめて踊りながら逝かせておくれ
脱げたハイヒールはもういらない
素足で踊る少女になって
三拍子の鼓動が呼吸と共に止まるまで
長い髪の毛から鱗粉をふりまいて
甘い余韻を残したい
どうしてもあたしは裁かれる
腹には黒いものを抱えたまま
償いという正義を背負わされ
見世物にされることで許される
なんという不条理劇!
鋭い刃がいきおいよく落ちてくる瞬間
あたしは気づかずに逝かされるというのに
くりかえされる腹黒のワルツ
国境も時代も越えて
あたしのところにたどり着く
どうか踊りながら逝かせておくれ
願いは儚く三拍子にまぎれて消えた
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