揺さぶる生命/笹子ゆら
 
欲する甘い誘惑も



  
……深く溺れるのは、要らないと思っていた、誰かのせい よ



(なんにも欲しくはなかったはずなのに)
  心の奥底に眠る好奇心に負けて動いていた
(小さな囁きに鳥肌すら立てていたのに)
  その誤魔化された視線を掴み取りたくて


この世に価値なんて見出していない
生まれたくもなんともなかった
そう思えれば十分だった


これが夢であればいい なんて意味が無い
わたしだけだとくだらない
火照った身体をあなたに任せたのは
ほんの 冗談のつもりだったというのに



  
誕生してから十数年、どうして今更、揺るがすの



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