星のたね/たちばなまこと
 
っそう瞬いていて
手と手をとりあい
より添うふたりは
ひとびとに守られていて

うつくしくほほえむ白い花
しあわせのたねだと彼は言う
彼女にもらったハーブのたねから
みどりが生まれた私のベランダ
降りそそぐ光のもとに身を乗り出して
旅立ちの船着き場を
眺めていた

ふたりが蒔いたたねの
ひとつぶひとつぶが
おめでとう
おめでとう
集まる場所
ふたりを育てた木々たちが
目の奥で水をたたえながら
遠くで見守っている
私というひとつぶは
ほかのひとつぶたちと手をつないで
輪になって
ふたりの道しるべになるよ
だから
安心して進んでゆくんだ

あのまっさらな空で
天使がふたりを見ている
変わらない生活にも
変わってゆく生活にも
朝日はのぼり
星は瞬く
星のたねは今日
あたらしい庭でからだをあたため
そっと
眠るだろう


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