こういうそこ/佐々木妖精
 
人民はいまだ餅の配給を待ち長蛇の列
あの頃は大変だったよね けどいい時代だったなんて
UFOは天使の着ぐるみを脱ぎ捨て
ワレワレハウチュウジンデスと声を揃える
金属的な皮膚から一様に輪っかがはみ出し浮遊している
手を差し込み空間を探っても 針金のようなものはない
ここはどこですかと踵を浮かせ ツルツル頭(?)を起伏に沿い撫で呟く
どこということはないのですが、どこというひとはいるんですねと微笑む
まるで宇宙人ワレワレモ宇宙人そう声を揃え
スターリンヨシフスターリン あ、レニングラード

三日月状の縁はニヤニヤと生臭く クレーターのおうとつが指を噛む
いつまでこうしていれば見えますか
僕は感触しか知りません
望遠レンズも青空がこんなふうに塞ぎ込みます
そう深さの足りない目張りです
夜空になったら見えますか 惑星衛星恒星
どれもこれも眩しくて ここが月だという確証が持てないんです
戻る   Point(3)