someone/霜天
たは、いなくなれないのだ
縋りつくために手摺を作った
階段はどこまでも滑らかだった
人間なんてそんなもんだね、と
泣きたくなるのはなぜだろうか
まっすぐに延びた環の中を進む
座り込んでしまった人に手を貸してみても
同じようにしか、回っていかない
時速いくらか、かたちのある速度で
ここでは、その他でしかないのだ
人は人で、街は街で、所属して、繋がって
誰か
見えますか
私たちはまた、かたちになっていく
いなくなって、繰り返して
そんなもんだね、と
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