おもい出す/かんな
母へと語られる
おもいは
いつもことば少なで
ずいぶんと幼い頃
学校へ行きたがらなかったわたしを
ぴしゃりとしかりつけた
あなたの手のひら
たった一度
手を上げたのはその一度
いまでも
その理由を
ふとあなたに
そしてわたしに
問うことがあるけれど
反抗期
そんなふうに
今なら言える
部屋にこもりがちなわたしを呼んで
台所でしかりつける
かと思ったら
こたつで寝るのは体に悪いからやめなさい
ただそういって
わたしの体を心配する
あなたのまなざしは
ただまっすぐで
半年間
学校にいかずにパソコンに向かっていた
朝起きると寝るまでず
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