Night/百瀬朝子
 
  死ぬのが怖いなんて錯覚だ
  誰かに死なれることの方が
  よっぽど怖いじゃない

ブランコに腰をおろした
背もたれのない背によりかかり
ブランコはあたしごとひっくり返る
首の後ろのほうを打ったみたい
どさっと鈍い音がして
首の後ろのほうで鈍い痛みがして
乾いた砂埃が舞い上がる
あたしは口を開けて砂埃を確かめるけれど
やっぱりそれはざらざらしていて
口の中がじゃりじゃり気持ち悪い

  置き去りにされる心細さに涙
  自分がかわいいだけならば
  その涙は拭いなさい

あたしはひっくり返ったまま
夜の公園を照らす月の輪郭
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