等価値にならざる声/松本 卓也
 


一貫して突きつけられていたはずの現実が
今更ながら認識の片隅から引きずり出されて
目の前で悠然と裁きを待っている
せせら笑いながら
そ知らぬ振りをしながら

何もかもに目を背けて
血迷えれば良いのに

改善の見えない弱さの代償は
やがて自らの逃げ道を塞ぎ
まだ在ると信じていた正しさを
分かろうとする事も許してくれない

間違わない人間など居るはずもない
誰に指摘されようが同じこと
そこからやり直せば良いだけなのに

全ての価値の一段下から
吼えた声に諭されるほど
私は堕ちておりません

ならもう勝手にしてください
間違っているのは
どこまでも僕だけなのだから
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