耳をなくしたきみへ/ゆるこ
くれた
優しいあなたの耳があるうちに
あなたにもっと
ありがとうといえばよかった
感謝が苦手なわたしの放つ言葉にいちはやくきづいて
あなたとだきしめあってひとつになれたでしょう
・
わたしの波間をぷかぷか漂う
かわいいかわいいあなたの両耳
あなたがわたしをなくしても
わたしはあなたをなくしたくはないの
空を飛ばないで
海に流れないで
わたしのそばにいて
わたしが手話を覚えるから
小さな希望を見捨てないで
わたしの手を握り締めて
あなたの音は
わたしの胸で傷を癒しているだけだから
(抱き締める
/きみのその震えた肩を)
きっと
大丈夫だよって
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