桜の楽譜/あ。
その横顔は
花びらのようでした
春風が、ふわり
いちまい
また、いちまいと
面影を其処此処に
舞い散らせます
花吹雪が、ゆるり
上になり
下になりながら
音階を柔らかく
作り上げます
二度と刻めない
季節を、景色を
小さく歌い
包まれていたことを
思い出しながら
いたずらな季節は
髪をほどき
心をほどきます
苦しくなるほどに
痛くなるほどに
出来上がった楽譜をなぞって
とぅ、とぅ、とぅと歌うと
口にした全てが
春であり、きみでした
その横顔は
やっぱり花びらでした
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