懐時/波のうたびと
 
学校帰り毎日君と遅くまで

語り合った公園はもうすぐビルになるらしい

誰にも見られないでとそっとキスをした

あのガード下には車が走っていて

帰宅する友達の波を外して手を繋ぎ帰った静かな通りには

何が出来ていくのかな

変わっていくのは自分だけじゃない

懐かしい昔の思い出や

水や木々を囲む街並み

時間と共に移り変わっていくんだ

何も考えないただ好きっていう気持ち

それだけで生きて行けたあの頃

いろいろ悩んだんだろうけど全部忘れてしまった

でも心残りがひとつだけ

あの時君にちゃんと別れを言えなかった

言うのが怖くて曖昧なまま崩れ去っていった

この街で一番高い丘に立って変わってしまった街を眺めて

あの日あの場所で君に伝えたかった言葉を探す

ああ変わらないものがあった

この場所で今もずっと前にも見ていた

君と最後に見た夕焼け空

変わらないあの時の心の奥底で

僕の想いが溢れてくる

瞼を閉じると橙の粒が零れ落ちそう

この街並みも僕の心も

変わることない大切な想いで出来ているんだ
戻る   Point(0)