紫苑/柊 恵
あたしにも そんな日々が来るって信じてた
十四の あの日までは
日照りさえ無ければ
年貢が払えなくて
おとう と おかあ は
そうするしかなかった
弥助さまは、あたしを
高く売れるって言ってくれた
村の姉さん達の話でなんとなくわかったさ
いくら あたしが子供でも
銀月楼は高級の客しか取らなくて
あたしは太夫になれるって
とても しあわせなことなんだって
紫苑
今日から、あたしは紫苑
おはつは、死んだんだ
せめて翠月さまにもらってほしかった
突き出しは、三嶋屋の旦那様…
おとう と変わらない歳の旦那さん
怖かった
男の
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