淡い甘い夢の行方/
百瀬朝子
淡い甘い夢を、黒猫が食べました。
消化しきれなかった夢が黒猫の胃袋で肥大します。
限界で弾けた夢があたしの枕元を散らかします。
朝方、浅い眠りの中であたしは夢を見ます。
それはやはり淡い甘い夢のようです。
黒猫が悠々と川を泳いでいます。
(しかし、)
(なのに、)
あたしは川の向こう岸で、立ちすくんでいます。
淡い甘い夢は、黒猫に食べられました。
戻る
編
削
Point
(2)