永遠に帰するポエジー 〜蛾兆ボルカ「はちみつぶた」について〜/白井明大
の言葉(カタコト語)からエッセンスが抽出され、翻訳された《》および「」内の言葉(大人語)として詩行に表わされること。これをどう解釈するか。子どもから「幼さ」を取り去った詩行の言葉をみると、作者は「子どもも大人同様の考えを持っており、ただ言葉がカタコトなだけだ」という認識の上に立っていると捉えられる。しかしそれだけではないだろう。《》と「」という二種類のカッコを使い分けるのは、子どもが持つ大人同様の考えを、一次変換的に翻訳し直しているだけではないことがうかがえる。子どもの持つ考えをすくいとる作者の筆は、考えの質的差異に敏感に反応している。第五連の「それが私の幸福です」という部分で表現されるのは、この
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)