Lights are green/noman
そう遠くない未来に
目に見える灯火は全て緑になる
輪郭の曖昧な緑の灯が
平板な空の下に溢れるはず
だらだらと続くゆるい坂道を
駆け上って溜息を
ひとつ
つくと
緑の霞がかかった町が
現れるだろう
緑の街灯の下 錆付いた自転車と
煙草の吸殻が数本
午後が午前に変わるとき
ゆるい坂道の上で 夢の 中で
歌われるような歌を誰かが歌うだろう
緑の眼をした猫がしぼんだ
風船をくわえて歩いてくる
「遠すぎてはうまくいかないけど
「近ければいいってわけじゃない
そんなことを
言いたいのではなくて
ただその猫に さようなら
とか
言うことができればよかったのだが
緑の眼の中に
遠くない未来
が映っていて
目に入る灯火は全て緑になって
しまった
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