宵の挨拶/北街かな
 
三日月の切っ先はより鋭利に、より残酷さを増して空という空をめった斬りにしてゆきます。
 私のラララララがうっとうしくてたまらなくて、居てもたっても居られぬ様子で、もうやけくそになって、ばうんばうんと全身を振りかざしています。
 ジョキン、ばっつん、どしゃん。
 天の川が中流から突然に分断されてしまったので、夜の堤防は破壊されてしまいました。途切れた川の端っこから大量の星屑があふれでて、空から水平線から海原から海岸線までを、ほろほろと埋め尽くしてゆきます。

 おやまあ夜の調和はいったいどこへいってしまったのでしょうか。星屑の洪水は、バラバラにされた夜空を余計ごちゃまぜにして押し流すもので
[次のページ]
戻る   Point(10)