春雷の夜/
松本 卓也
だけで尊いとなど
嘯くつもりはないけれど
雷
けたたましい雨音は
生きているようで死に続けている
木偶の坊が呟いた
言い訳を塗りつぶしていく
このまま夜が明けて
ただ重ねるだけの日々が
何事もなく圧し掛かり
背中を叩いて急かしつける
だからこの掻き消えそうな独り言
今だけは誰かに聞いていてほしい
そしてたった一言だけでも
声をかけてくれれば良い
一人じゃないと信じていたい
それだけなのに
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