セラビィの世界/
 
して今、彼は老いぼれて
屋根裏の部屋で死んでいこうとしている
ある晴れた朝だ
ふと朝の匂いと音を感じるうち
以前もこんな朝を迎えたなと思った
彼は15の頃を思った
彼は21の頃を思った
26の頃はよく思い出せなかった

まだ何か思いださなければいけないものがある気がしたが
もう霧が覆い始めたようだ
セラビィは息をつき

朝のおいのりを済ませた
その時だいぶん見えなくなった目に
横切るものがあった

彼は手を一つたたき
うなずくと
目を閉じた

彼の名はセラビィ

そして太陽の中へ

世界は無限


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