クミレナートンノ/えりくさちえい
 
衣さん家のまどからは
港のクレーンがよくみえた

なにげなく衣さんのはなしを聞いていたときも

その絵がらはあらゆる方向に
広くまぶしかった

ぼーっとしたまま椅子の上でクミレナートンノ、
クミレナートンノとどんなにゆっくり発音しても

空の量に間に合うことがなかった


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