陰の器/アングラ少女
 
かれら驚異の黒魔術によって鮮明な快楽の絶頂を
希う編纂者諸氏よ
聞け 創造と夥しい愛欲の営利それ自体のために
都会の黄昏を跛行する一人の若者も聞け
北海の濃霧のなかで産卵する魚の風景
肉体の跳梁する上を身ぎれいな悪魔が、
ベルベット装飾の弛みない煉瓦で蓋をする。
世界の画家は大陸の黄砂のつまった酒瓶の内部で首を吊る。
世界の作曲家は荊冠をかむりにべなく鳥葬される。
世界の女は内在する塑像の男の身替りに狂奔する楽士の獣を孕む。
たえず変容を繰りかえす魚眼の獣の卵を朋輩の俤に背負られた盥の膵液と?れた甲の分泌との混合液に浸け育成する。省察の膜をひろげる解剖された処女の線譜が宙がえり
満つる時のない時刻の導線に」変質した音の連続がらせん状に」巻かれ」発破する」
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