待ち惚け/琥霙ふうり
どこを探しても
どこに行っても
とことこと、靴ずれを起こし
踵と爪先がいがみあうだけ
ふいに、低体温症間近の私が
湯たんぽの君を恋しがる
それがレトルトな思い出でも構わない
自分の家すら分からなくなった
今の私に君は、必要不可欠で
振り返ればまだ校舎が陰っていく最中で
街灯の下で、ちかちかした眼を
こすっている
いずれ、影すらも私を置き去りにして
友達と呼べるのは呆けた街灯と
校門のおじいちゃんだけになってしまう
言葉も交わせぬまま
私達は景色の一部として風化していくのかな
ぽつ、り静寂が降る
迷子のまま
名も知らぬ夜に私は溶け込んで
きっと、きっと
朝が来るまで待ち続けてる
朝が来たら
昼も、また夜も越えて
私が呆けておじいちゃんになっても
ずっと、ずっと
待っているよ。
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